MIB3
2012年アメリカ発3作目〜!
トミーリージョーンズとウィルスミス続投!
しかしエイリアンのデザインがさらにエログロ寄りで、開始早々にボンデージ姿の人間女性型エイリアンが男性型エイリアンと濃厚でフェティッシュなキスシーンをかましてさらに体内からキモい虫を出して殺戮シーンに移行するという、もうここからして「前作は8歳OKにしたけど早まったのでは!?」という気がしてくる…ので、この冒頭に限らず諸々過激表現の為12歳以上対象かなと思っています。
なんといいますか、エイリアンと性的倒錯者とを視覚的に結びつけるような描写が個人的に納得いかない。スペーシーな雰囲気や当時の未来感としてラバースーツやプラスチックなどテカテカした素材が使われるのはある程度デザイン上イメージの流行り廃りがあるのでそういうのも多少アリかなとは思いますが、今作はさすがに寄りすぎ。
しかしMIB組織のトップが女性キャラクターになるなど時流を感じます。
特に2作目の中で黒人差別問題を軽くギャグに入れたのがウケたのかそれとも時が来たのか、3作目はさらに自由の国アメリカとして気まずい場面を何度か入れています。公開当時の自分は「ああ当時は黒人が良い車に乗ってるだけでも警官に呼び止められるのか」とバカ素直に観ていましたが、BLM前後の報道を見てきた今となってはストーリー展開を知っているにも関わらず、白人警官がニヤニヤ近寄って来ただけでゾッとしました。しかもウィルスミス自身が有名になるまでは当然常にその緊張感の中で生きてきて撮影当時も全く解決されていない事をコメディ映画で面白おかしく再現させるなんて、ちょっと言葉にならない…
ヒット作に恵まれた成人後のスーパースターであっても幼少期からの白人警官に対するトラウマがあってもおかしくないのに。
しかし彼の確固たる信念からすればそういったことも乗り越えてこその俳優業だというのがインタビューからわかりました。
2020年のインタビューで彼は
「自分のキャリアを通して、黒人や様々な人種の子供達のお手本のような人物になりたかった。だから賢く力のある役を演じ活躍し続けることで、黒人だけでなく世界中の子どもたちに自分も活躍できると思って欲しい。活躍できるのは、白人だけじゃないよと伝えたい」
と述べていました(元のインタビュー動画のリンクがわからなくなってしまい捜索中です)。
この「自分と同じ人種の活躍する様をメディアで見ずに育つ」意味はほぼ単一民族の島国かつ周囲がアジア人ばかりの町で育った私には想像するしかない感覚なのですが、ここ数年かけて今では非常に重要なことなのだと考えています。
少し話がズレますが、「ゴジラ キングオブモンスターズ」の監督マイケル・ドハティもアジア系アメリカ人で、週末に流れるゴジラくらいでしか自分と同じアジア人の出てくる番組がなかったとインタビューのなかで答えており、今回ウィルのインタビューを検索している時に「まさにこれなんだ」と思いました。
恥ずかしながらどれもこれもここ数年で知った事ばかりですが、それを踏まえることでますますハリウッドに活躍の場を移した渡辺謙や真田広之、浅野忠信をはじめ日系3世の忽那汐里、俳優ではないけど渡辺直美など日本人達を強く応援したい。今彼らがアジア人の枠を広げていく輪に入っているのは素晴らしく(…普段なかなか使わない言い回しですが)誇らしい事だと思います。
映画本編の内容に触れているようであまり触れていませんがこの作品ももちろん面白いので好きです!