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子供向け番組/映画などの話

iBoy

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2017年のNetflixオリジナル映画、原作はケヴィン・ブルックスによる同名のヤングアダルト向けSF小説

 

近未来/現在、治安があまり良くなく大型アパートがまるまるひとつの小さな町を形成しているような地域で生まれ育つハイティーンの子供達を描いたラノベ感ある作品。(親世代の感覚で言うと田舎町の閉塞感がこの大型アパート群に詰まっています)

 

家族ぐるみのお付き合いをしている人から、いじめなどの少し複雑なテーマを含んだ作品を教えて欲しいとのことでこちらと「ワンダー君は太陽」を薦めてみました。

そんな訳でタグは高学年のみに絞りました。対象年齢は最低ライン11歳以上です。暴行殺人、自殺に加えレイプの描写もあるので性教育ゼロの場合はまだ観ない方が良いでしょうし、そうでなくても鑑賞前と途中に少し説明をする必要もあると思います。我が家ではまだ見せていません。

 

主人公トムが片想い相手のルーシー宅へ行くと、暴漢達に襲われている最中だった。銃を向けられ逃げながら通報したその時、発砲され携帯を貫通し頭にも銃弾が当たるが辛くも命を取り留める。

脳に携帯電話のパーツが一部残った状態ではあるが意識を取り戻したトム。それ以降、電子情報や動画が見えたり音声が聞こえるようになり、あの暴行時の動画を持っているクラスメイトを見つけてしまう。

 

ハイティーンの万能感とTHE厨二病スーパーパワーで極悪非道に片足突っ込んだヤンチャ達をやりこめ、片想いの無念を晴らす。爽快感やエモさが現代的なアイテムと情景に置き換わった、今のヤングアダルト向けSF。

暴行を受けた友達に寄り添いたくも自分はあの時何も出来ずに走って逃げたと恥じる主人公が母に背中を押してもらう姿、貧困から道を踏み外していくクラスメイト、身近に迫る犯罪組織の影。SF要素を抜きにすれば、残念ながら今も昔も続く負の連鎖が案外身近にある可能性を感じさせてくれます。

SF設定のユルさには笑顔で目を瞑って、トムのひたむきな優しさと傷ついたルーシーが回復していく姿をぜひ観て欲しいです。ださい花束にぎこちない笑顔、遠慮がちな声…

 

ルーシー役のメイジー・ウィリアムズは「ゲームオブスローンズ 」で不屈のアリア・スタークを演じたことで一躍脚光を浴びました。ウィキペディアによると、アメリカのドラマにおいて、初めて人を殺すシーンが放送された子供の役であるとの事でなるほどあのドラマは文字通り歴史に残る名作だなということでこちらよろしくもどうぞ。