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子供向け番組/映画などの話

マトリックス(シリーズ)

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1999年公開、20年も前か〜!当時観に行った記憶と共に甦る学生時代のあれこれ…。映画は好きだけどお金ないから映画館はなかなか行けないんだよなあ行くかどうか迷うなあ…と思っていたら同級生が誘ってくれたのでヨシ行くか、となったのを覚えています。パンフレットもまだ持ってたはず。巻末のグッズ通販ページにネオの本革ロングコートが載ってました(確か9万円…安過ぎない?当時普通の革ジャンだってそれくらいするのに)。

どの俳優さんもハマってるしめちゃくちゃカッコつけまくる方向に針振り切れててサイコーじゃん…と震えました。

 

そんなわけでレザレクションズ公開に向けて復習、と思ってマトリックス、リローデッド、レボリューションズと三作続けて観てみました。

結果、マトリックスは全年齢対象。デジタルネイティブ世代には設定が古臭くて感覚的に解りにくいかもしれませんが、20年ちょい前はまだMO使ってたしモノクロのイラレもまだ使ってたし(データ軽いから)フォントを買うとフロッピーディスク5枚組とかだったしつい最近までピーヒョロロガーピガーピガー(石器時代は電話回線でインターネットに繋ぐ時にそういう音が鳴るんですよ)とかやってたのはごく一部の人間で、制作側も受け手もデジタルに対する意識と理解がふんわり低解像度だったのであれで良かったんですよね…ともあれSFアクション映画で厨二心をくすぐるとしたらもう間違いなく金字塔でしょう。

続くリローデッドは12歳以上対象、なんと珍しいことにキアヌのがっつりベッドシーンがありまして、しかも案外尺が長い。え、もういいんじゃない?と思ってもまだ続く。遠目とはいえ全身ヌードもしっかり映すし、全体的にキスシーンも多いし気持ち…ねちこい気がします。あとややこしいなと思ったのが、おそらく人間の女性モブに性的なちょっかい(絵的にソフトではあるけど)を出して不倫をするAIキャラクターと、それに嫉妬して行動を起こす妻キャラクター(これも多分人間?)がいて、最早AIとプログラムと人間個人の人格の区別がつかない…皆好き勝手に動いちゃっててマトリックスシステムが何をどうしたいのかわからない。子供に質問されても答えられる気がしない。でも明らかに一作目よりもカンフー/ワイヤーアクションに全力投球していて「無双」感が凄い。(おそらくコロンバイン高校銃乱射事件などを受けてガンアクションを減らしたのでは…という意見をどこかで見かけたので、そのスタイリッシュさと無敵無双描写と影響力の強さに納得)

レボリューションズは再び全年齢対象なんですが、リローデッドで広げた風呂敷を畳むために詰め込んだ!!という感じで慌ただしく、なんともいえない印象です。ヘンテコアジア服(襟周りが謎のつくりになっているので着心地悪そうで見ていて落ち着かない、両面テープで襟裏留めてるかもしれない)は微妙だけど、閉ざされた狭い世界で生き残った人達の描写が殆どみんな混血ぽいのを見て、「いつかはそうなるよね」と自分が幼い頃に父と話したのを思い出してグッときました(他の言い方を調べてみたけど日本語だとマイルドなものがなくてミックスかダブルがせいぜい、でも「全部混ざっている」イメージで混血を使いました)。

 

そんな訳で、レザレクションズがどういった切り口でマトリックス物語を紡いでいくかによって最高の4部作となるか「最初のやつだけだったよね」になるか、かなあと思っています。Twitterをちらっと見た感じではみなさん割と好感触なようなので期待してます。

 

ブログ書き終わる前に観に行ってしまいました。

結論は「3作品とアニマトリックスとゲーム」を全て踏まえた上でこの20年間を共に過ごした人が一番美味しい気がする。でも勿論そうでない人をただ置いてけぼりにするのではなくて、レザレクションズの前半に散りばめられたこれまでの作品のキーを拾って読み解いていく中毒的楽しみもあり、現代の技術と表現力を目一杯使ってこれまで表現しきれなかったものをさらりと普通に描ききるアクション大作として改めて帰ってきた作品なんだと思います。

ウォシャウスキー兄弟がトランスジェンダーらしいという噂はリローデッドの頃からあったようなのですが、公表されたのはリローデッドとレボリューションズの公開から数年後だったと思います。比較的初期(?「バウンド」から好き)の頃からウォシャウスキー兄弟のファンだったので表記が「姉妹」に変わっていたのには驚きました。インタビューで「一作目に登場したスイッチというキャラクターは現実世界で男性、マトリックスでは女性というトランスジェンダーにしたかったけれど社会・企業がまだその準備ができていないのでやめた(結果少し違うキャラクターになったがそれはそれで良いものだった)…」というような話をしていました。今作の新しいモーフィアスが華やかだったり画面に色鮮やかなシーンが増えたりセリフに虹が出てきたりしたのはその辺の「社会の準備」が少し進んだからかな。

 

観ていて一番興奮したのは序盤です。ネタバレになっちゃう?かな??改めて「現実とは?」を突きつけられるアンダーソン氏の戸惑う姿や周囲の細々としたアイテム、一作目の興奮は越えられないかもしれないけどこの20年間をふまえてのこの序盤。さすがです。